エムリの魚拓

SNSに流している詩、俳句、短歌などの作品をまとめています。たまに散文も。

いのち、宇宙、はじまり

豆乳を甘く感じる全身が パズルのピースを探し求める

【五感】

 

電球を逆さまにして夜を待つ

【夜】

 

キャンドルの炎が向かう場所知らず

【炎】

 

林檎を食べても死なずにいられるか

【アダムとイヴ】

 

インクをつけた指で涙をぬぐう 黒い瞼で死んで何処かへ

【変化】

 

死んでいて死んでは居ない死際の 灯りを求む脳が震える

【源】

 

生きるのに必要じゃないものすべてが

わたしの血肉となっている

生きるのに必要じゃないものすべてが

わたしの心臓を動かしている

生きるのに必要じゃないあなたが

わたしの頭を支配しつづけている

【生きるのに必要じゃないもの】

 

ありがとうだけが人生のはじまり

【誕生】

 

なにもかもが嫌になったわたしの心身が 砂漠の丘から転げ落ちる

そこではわたしがただひとり

【ひとり】

 

きみの奥にあるこころ わたしの奥にあるこころ だれかの奥にあるこころ

ぜんぶつながっている 宇宙でつながっている

【こころ】

 

さらば友よ 地獄で会おう

【盟友】

 

ここではなにをしてもいいのですよ ここではあなたひとりなのですよ 怖いものはなにもありはしません

【人生】

 

深く深く深いところの夢たち 生きていますか 生きていますか

【夢】

 

たからものをください

あなたのたからものをください

かわりにわたしのたからものをあげます

わたしのいちばんのたからものをあげます

【たからもの】

 

ラジオから流れるジャズを聴いて わたしは涙を流す

涙が音にふるえる

ふるえるものは いつも不完全で

そして自由をまとう

【不完全と自由】

 

対極にいる きみとわたしで 世界を作ってみないか

作った世界のなかで 一緒に生きてみないか

一緒に生きて 一緒に死んでみないか

きっとものすごく素敵だよ

【ふたり】

 

ドロップス缶を振れば小学生

【少年】

 

さみしさを唾と一緒に飲み込んで

【言えないもの】

 

あたたかくてやさしいかれは

わたしをわるい女にする

【布団の魔物】

 

いやだなあつらいなあ人生だなあ

【人生】

 

かりそめの恋心だけが本物

【片想い】

 

歌え踊れ そこが天国 あなたの生命(いのち)のなか

【いのち】

 

あと一回を繰り返してわたしたちはたいせつなものを失っていくのだ

【たいせつなもの】